Wednesday, November 22, 2006



[学] 地球大学#29:都市型有機農業 in キューバ

大手町カフェで毎週水曜日に開かれている「地球大学」、今日は通算29回目、そして「シリーズ地球食」の第5回、テーマはキューバを舞台とした「都市有機農法の可能性」でした。

キューバの首都ハバナで、そこに住む人々を養う都市型の有機農業が展開されている、という話を小耳に挟んだのはつい数ヶ月ぐらい前のこと、それまでキューバという国についてのイメージは、キューバ危機(数年前に13 Daysという映画を観た)とゲバラとカストロとシガーと、、ぐらいしか無かったのですが、話を聞いてみると、ソ連崩壊によって後ろ盾を失ったキューバは、やはりソ連から輸入していたエネルギーも食糧も突然入ってこなくなり、その結果大不況に陥り、その中で人々が生きていくために、化石燃料に頼らない、持続可能な農業をせざるを得なくなった。化学肥料、農薬も手に入らなくなったために、必然的に有機栽培となり、輸送のエネルギーも無いために、必然的に消費者の集中する都市に密着した地産地消となり、、そしてそれにまんまと成功してしまった、というようなことがこの10年程の間に起きていたらしいのです。

ということで、今日のセミナーでは、8回に渡ってキューバを訪問、件の有機農業を視察されている、長野県農政部の吉田太郎さんという方がゲストに招かれていて、短い時間の中に、近代的農法の確立、いわゆる「緑の革命」に貢献した二人のノーベル賞化学者、持続不可能なリン酸肥料(ナウルを例に)、ピークオイル、日本とキューバの色々な類似性、ソ連崩壊前のカストロ政権下での従来型農業、ソ連崩壊後のキューバ凌ぎ(by 吉田さんギャグ)でしかししたたかな国家的農業戦略、これに成功した秘訣とも言えるキューバ人のおおらかさor良い↓加減さ(地球大学では「イー→加減」(第1声)ではなく「いい↓加減」(第4声)というイントネーションで発音します)、先端医療国としてのキューバ、ベネズエラとの連携(吉田さん曰く"善"の枢軸国)、持続可能な農業の真のルーツとしての日本、そしてアジア、、あぁその他様々な話を広く広く、聞くことができました。それぞれを深く深く掘り下げたいような話ばかりでした。吉田さんの著作を手に入れて是非読みたいと思いました。(会場で2割引で売っていたのに、手持ちの現金が足りなくて買えなかったT_T)それだけでなく、吉田さんは、自虐的な冗談ばかり飛ばしていたカナリ面白い人で、まったく元気にさせてもらいました。

前半終了。

さてさて、一度書き始めると長くなる僕の悪い癖ですが、ここに面白い話があります。ちょっと前にWWFが出した(ちなみにWWFのウェブのアドレスはwww.panda.orgなんですよ、パンダですよ、知ってましたか?素敵なセンスですね)、"Living Planet Report 2006" というレポートがあるのですが、この中で、国や地域毎の持続可能な発展性ってのが、国連の人間開発指数とエコロジカル・フットプリントという指標を使って評価されています。

上の図はこれを示したもので、国毎のデータが円でプロットされています。横軸が人間開発指数、これが右に行く程豊かな生活を送れている国、縦軸がエコロジカル・フットプリント、これが上にいく程環境に与える負荷の大きい国、円の大きさはその国の人口の大きさを示しており、さらに北米、ヨーロッパ、アジア、、等の地域によって色分けされています。そうすると、このグラフが右肩上がりの双曲線になっているのは自然なことで、豊かな暮らしをしている国程(右の方に行く程)、環境に与える負荷が大きい(上の方に位置する)という意味ですね。黄色で示されているアフリカの国々は、おしなべてグラフの下の方にあるけれど、左の方に固まっています。右上にある大きめのオレンジの丸はアメリカで、暮らしは豊かだが負荷も高し、という感じですね。縦軸で4.3ぐらいのところに位置する、一番右にある大きめの緑の丸が日本です。アメリカに比べると、環境負荷は半分以下です。線が引っ付いている丸がいくつかありますが、これはいくつかの国をサンプルに取って、1975年から2003年までの軌跡を描いたものです。中が空白(人口10億以上を意味する)の緑の丸はインドと中国ですが、この28年の間にズイズイと右の方に移動、つまり発展してきています。この大きな二つの円がアメリカのような高さに位置してしまったら恐いですね。南アフリカは、一度は発展したが、また元に戻ってしまっています。

さて、ここで、右下に網かけのエリアがありますが、これは生活の質は高いが環境負荷は低いことを示すエリアで、彼らの定義で「持続可能な発展」の条件を満たす範囲のようなのですが、ここに一つだけ茶色、つまりラテンアメリカ・カリブ海地域の国が入っています。そう、実はこれがキューバなんです。

今日の地球大学の話にもありましたが、彼らは強いられて、石油を始めとした海外資源への依存から脱却し、その過程の中で結果として持続可能な社会を作り上げてしまった、ということなのですが、それがこのデータにもはっきり現れているようで面白いです。そしてその新しい発展を実現できた最大の理由は、やはり化石燃料からの脱却にあると思うのです。ということで僕は今日も、石油の価格が早く10倍ぐらいにならないものかと、願い続けるばかりです。

下の図は同じレポートからのものですが、面白いので貼ってみました。国全体でのフットプリント(環境負荷)の大きさに合わせて、各国のサイズを縮小拡大したもので、アメリカやヨーロッパの国々、そして日本も超肥大化、そしてアフリカが潰れてしまっているのが良く分かります。国のサイズは国民総和での環境負荷ですが、一人当たりの負荷は色分けで示されています。カナダやオーストラリアは一人当たりの環境負荷(エネルギー消費量とか)はアメリカと対して変わらない(同じ濃い赤色)ですが、人口が少ない分、サイズは小さくなっています。中国は一人当たりは少ないけれど、人間が14億もいるので、このサイズです。んー、この地図、気持ち悪いですね。Super Size Me って感じ。


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ところで今日、セミナーの後半で竹村さんと吉田さんがディスカッションをしていた最中に、ボケーっと「日本一億農民化計画」とかって言葉を思い付いてしまって、そんな運動ができたら楽しいな、とか考えていたんですが、誰か一緒に乗りませんか?ドメインは ichioku-nomin.jp で。

Thursday, November 02, 2006


[知] 枝廣淳子さん

今日のDaily Yomiuri の"The Language Connection"というページに、枝廣淳子さんのインタビュー記事が載っていた。この人の話を初めて聞いたのは、竹村真一さんによるLOHAS Dialogueというイベントのゲストに招かれていたときで、その奥深く、魅力的で、何よりも素晴らしい活動を実践的にされている姿に惹き込まれるように、一発でファンになってしまったものだった。その夜に、mixiに、「大切軸 vs. 急ぎ軸」というタイトルで日記をポストしたのだったけれど、それをここに再掲してみよう。(画像もその日記に添付したもの)

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今日は、大手町カフェで行われた"LOHAS Dialogue"というイベントに行ってきました。ここで毎週水曜に「地球大学」というセミナーも開いている竹村真一さんと、枝廣淳子さんの対談会。枝廣さんは、世間的には「環境ジャーナリスト」という名前で紹介されている方ですが、実際にはその肩書きでは表しきれない様々な活動に携わり、理論的であってかつ精神的にもとても深いものをお持ちの方でした。とつとつと静かにお話され、人の話も良く吟味されて、説得力のあるお話を楽しませていただきました。

共感したこと、感心したことは、2時間程の対談の間に数限りなくあったのですが、一番心に刻み込まれたことをここで一つ紹介してみたいと思います。

まず、現代人は働き過ぎだという話があったんです。そこで枝廣さんは、写真のような図を描かれました。大切なもの(自分の人生にとって、と考えておいて下さい)、急ぎのものという二つの視点で二つの軸を引き、身の回りのこと(仕事)を考えてみる。すると4つのエリアができるんですが、まず、通常は誰もが、大切で、かつ急ぎの用事から着手しますね。図の赤の部分。じゃあその次には何をやる?というと、大切ではない(少なくとも自分ではそう思っている)けれど急ぎの用事、黄色の部分に手をつけてしまいます。つまり、「急ぎ」の軸を優先してしまう訳ですね。すると、人間は使える時間が限られているので、青い部分、大切なのに急ぎでないもの、ってのはずーっと手をつけられずに捨て置かれてしまう訳です。しかも、職場で赤や黄色の部分を一生懸命やっていると、さらにどんどん仕事が回ってくるので、ますます青に割く時間が無くなってしまう、ということです。そして、死ぬ時に、一体自分の人生は何だったのか、、?ということになってしまう。

だから、きちんと自分にアポを取って、青の部分の時間を予約して、自分にとって大切なことをやりましょう、という話だったんです。枝廣さんは、この青部分にきちんと時間を割くために、朝2時に起きる生活をしているらしいです。やはり、一番邪魔が入らない時間帯だから、ということです。

この図を提示されたとき僕はギクッとしましたが、やはり男の人はギクッとする人が多いんだそうです。みんな、青い部分をそれぞれ持っていて、なおかつ全然手を出していないことが分かっているからですね。皆さんはどうでしょうか?
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今日の新聞の記事は、枝廣さんがどのように英語を勉強してきたかという話がテーマだった。枝廣さんは、環境ジャーナリストであり、また同時通訳者であり、レスター・ブラウン氏(ワールドウォッチ研究所を創設し、現在はアースポリシー研究所の所長を務める)の専属通役者をずっとやってきた人でもある。記事の中では、ブラウン氏の通訳者となったときのエピソードにも触れられていて、その内容にも驚きであったのだけど、それより驚きであったのは、アメリカに滞在していた2年の間に、彼女がどのように英語を征服していったのか、ということ。

枝廣さんは、旦那さんについてアメリカに渡った時(当時29歳)、全く英語ができなかったらしい(とは言っても、平均的大学卒のレベル)。そして、空港に降り立ったときから始まった、言葉が理解できない苦しみの中で、滞在する予定の2年間の内に「同時通訳者になってやろう」という目標を立ててしまったというのだから、これはちょっと、普通の人には思いも付かないようなことである。何故それを選んだのかというと「英語に関する限り、最もチャレンジングなゴールだと思ったから」だそうである。

さらに、彼女には、語学学校に通うような経済的余裕も無かったらしく、最初は身の回りにある、テレビ、新聞、雑誌で勉強を始め、内容が掴めるようになってきたとなると、学習の目的を「理解する」から「素早く訳していく」ことに切り替え、知り合いになったアメリカ人に、文章を朗読してテープに吹き込んでもらうように頼み、それを聞きながら一人で同時通訳の訓練を始めたという。この知り合いにはテープ1本当たり$10のお礼をわたし、滞在中にトータルで20,000円程支払ったそう。そして、それが「2年間のアメリカ滞在中に、英語を学ぶためにかけた全てのコスト」だという。渡米の時には8ヶ月の娘を抱えていたが、毎日子供を寝かせた後に、8時間から10時間英語に没頭、子供を育児所に預けたり、ベビーシッターがやってきた時には、さらに多くの時間を英語の勉強に注いだということである。全く一人で、である。

「とりわけはっきりした目標があるときには、自分のとっている(勉強)方法が適しているか、一番良く判断できるのは誰でもなく自分です。だから、外からの助けに頼ってしまうより、自分だけの力で勉強する方が効果が高い。多くの人は、"方法"と"目的"を取り違えていることに気が付いていない。そういった人たちは、語学学校のコースを修了したり、ある教材を勉強することが"目的"だと思っているけれど、それは本当は、"方法"の内の一つに過ぎないんです。」(原文では"method"と書いてあったけれど、"方法"より"手段"の方が、一般的な対語かな?)

そして、枝廣さんは、本当にたった2年の間に、自称「英語が分からない人」から同時通訳者までに上り詰めてしまったらしい。そしてそれは、「まだ始まりに過ぎなかった」。その後の枝廣さんの活躍は、ご存知の方はご存知の通りであると思う。

上に引用した過去の日記にも書いた通り、この人は、朝2時に起きて、「大切なこと」に自分の時間をきっちり割いてあげるのだそうで、なるほど、子供を育てながら毎日10時間英語を勉強してきたような人であったら、もはやどんな変わった、人には出来ないようなことをしていたとしても、何も驚くことは無い、と思ったのでした。

自分も過去カナダに1年滞在していたが、、その間に為したことは、この人の何分の1だろうか?何十分の1だろうか?反省もすれば、また、とても勇気づけられる話でもありました。感謝。

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Now I found the article in question online on the Daily Yomiuri's website, so why don't you check it out: http://www.yomiuri.co.jp/dy/features/language/20061102TDY14001.htm